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              『 外資のM&Aが日常化する日 』

           起業から少し話が逸れるが、わが国の産業界は、2006年4月に施行が予
          定されている株式交換型M&A(企業合併・買収)に向けての商法改正に関心
          が集まっている。
           この改正では、外国企業が日本企業を買収するにあたって、国内に設立した
          子会社を受け皿に、外国企業の自社株を買収資金使うことを認める三角合併
          が解禁になる。
           政府は、とかく批判の強かったわが国のM&A法制を欧米水準に近づけると
          ともに、対日投資を5年間で倍増させる計画を立てている。
           外国資本による日本買いが本格化するわけで、経産省の調査でも「85%の
          企業が、敵対的買収に脅威を抱いている」と云われる。

           富山市に本社を置く北陸電気工事は、北陸電力系列の電気工事会社で、こ
          こ数年は電力の設備投資の減少に伴い売上を減らしているが、有利子負債ゼ
          ロの優良企業である。この会社、純資産312億円に対し発行株式に株価をか
          けた時価総額は75億円。単純計算では、75億円の自社株発行で312億円
          の資産を手に入れることができる。
           実は、純資産が時価総額を上回る企業は、東証1部上場企業の3社の1社
          に上っている。
           これまで、無借金経営を自慢に、こつこつと利益の内部留保に努めてきた会
          社が、資本の論理や株主の利益を最優先させる世界の市場原理の矢面に立
          たされようとしている。特に、食品、薬品、生活用品など市場の成長が期待で
          きない成熟産業においては、M&A が市場での競争に代わる唯一の企業成
          長の武器となっている。

                − 求められる世界標準のビジネス感覚 − 

           わが国の企業に対しては、世界の優良企業が目を光らせている。
          それは欧米企業だけでなく、中国や韓国などアジアの企業もM&A の機会を
          伺っている。また、国内の企業同士によるM&A も、UFJ ホールディングスを
          巡る三菱東京FG と三井住友FG の法廷闘争を見ると、これまでの紳士的に処
          理されてきた銀行間の争いとは本質的に性格の違う、資本の論理によって動
          いていることが分かる。
           資本の世界標準は、否応なしにわが国のビジネス世界で広がり続けており、
          判断基準や意思決定ルールがあいまいで、事前折衝や密室の根回で重要事
          項を決定する日本型標準は姿を消しつつある。
           すると、日本的雇用慣行だった終身雇用や年功序列制などは、これまで云わ
          れていた2015年ころを待たずにこの国からなくなる可能性が高い。想像以上
          の速さで、企業も従業員も新陳代謝が進むと思われる。

           これまで日本の企業は、ほとんどM&A に対する防衛策をとらずにきた。最近
          になって慌てて、高株価のための株主優遇策を模索しているが、「今の企業価
          値を着実に高める」しか具体的にはまったく打つ手がないのが現実である。
           これは、そこで働く従業員にとっても同じである。一見、経営者が誰であろう
          と働く者にとって変わりはないように思われる。しかし、わが国における外資の
          企業買収では優等生と云われる日産自動車では、14万8千人の従業員を12
          万7千人へ2万1千人をリストラを行っている。国内でも、1万6千人が職を失っ
          ている。また、工場閉鎖や職種の転換によって、思いもよらない職場での勤務
          を余儀なくされている。
           企業同様、そこで働く人間も世界標準を対応したスキルと感覚を身に着ける
          必要がありそうだ。語学と同時に、営業や開発部門のスキルが重視されてい
          る。それは、起業にとっても、重要なスキルである。

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