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   『 極めつけコミュニケーションビジネス 』

           ニューヨーク市のグランドセントラルターミナル駅の一角に設けられたブース
          「STORY CORPS」。
           駅の喧騒の片隅では、初老のアフリカ系男性が長年連れ添った奥さんに、こ
          れまでの苦労を感謝してお礼の言葉を述べている。育児のこと、貧しかった時
          代のこと、両親のこと、仕事で幾度もサポートしてくれたこと。傍らでは奥さん
          が、柔らかな笑みで相槌を打ち、時には思い出話や感想を織り込む。
           この微笑ましい対話は、ラジオ番組制作会社によって40分のCDに録音され、
          記念として出演者が持ち帰る。中には、地元ラジオ局から放送される対話もあ
          る。
           祖父が孫の男の子に、自分たちの祖先のことを話すこともあるし、日頃一緒
          に働いている同僚に、退職を前に感謝を述べたり、結婚を直前に控えた若い
          女性が、父親に感謝の気持ちを話したり、対話の組み合わせは色々である。
           彼らは10ドル(約1080円)を払って、日頃はなかなか口にできない素直な
          気持ちを話し、記念のCDとして受け取る、注目のコミュニケーションビジネスで
          ある。

           わが国でコミュニケーションビジネスというと、電話による商品販売や、翻訳、
          話し方教室、時にはマルチ商法を云ったりする。
           それは多分に、モノ偏重に片寄った経済が今も続いているからであり90年
          代から云われる経済のソフト化も、大資本の企業化しやすいビジネス中心のソ
          フト化に留まっているからである。
           趣味・創作のジャンルでは、カルチャーセンター、映画館、カラオケボックスな
          ど、大資本の系列が各地で事業展開をしている。それは、観光・行楽でも、飲
          食・外食でも同じである。
           ただ、起業の目の多くは、この経済のソフト化に呼応したコミュニケーションサ
          ービスのジャンルにある。人を相手に人のぬくもりが感じられるサービス、温か
          い気持ちにさせてくれるサービス、マニュアルを見ては絶対できない顧客対応。
           これらは、大きな利益が目標の大企業では最も苦手とするサービスである。
           「STORY CORPS」は、関心がモノから知識や楽しみに変わりつつあるわが
          国の庶民にとっても、興味深いサービスに思える。         

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