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               『 本当に大丈夫? ペイオフ対策 』

           4月1日からペイオフが解禁される。
          これまで、二度の解禁延期があったために、ペイオフ対策に関してはまったく
          手付かずの企業が意外に多いので、ここで改めて整理してみる。
           ペイオフとは、金融機関が破綻した場合に行われる預金払い戻しで、一預金
          者につき元本1000万円とその利息が預金保険機構によって保護される制度
          をいう。
           これは一般預金者にも、個人事業者にも、そして法人にも、同様に適用され
          る制度。しかし、個人事業者や法人にとっては、資金はその存続のための生
          命線である。取引金融機関の倒産によって預金口座が凍結されると、お金の
          出し入れがまったく出来ないために「引き落とし」や「決済」など大変な影響を
          受けることになる。

           金融機関が破綻すると即刻営業停止の処置がとられ、店舗窓口やATMは閉
          鎖される。そして、同じ銀行や信金の支店何カ所かに複数の口座を持つ預金
          者の「名寄せ」が行われて、名義人を一本化する作業が3〜4日行われる。こ
          の間、至急にお金を必要とする人のために「仮払い」が行われるが、一口座あ
          たり最高60万円が限度である。
           事業家の中には、家族名義で口座を作ったり、既にある口座の名義を家族
          名義に変更したりして、ペイオフ対策としている人も多いが、最近は、預金の贈
          与とみなされて名義人に贈与税が発生するケースが増えているので注意が必
          要である。
           また、企業が法人格を持っている場合は、個人口座とは別に法人が元本10
          00万円とその利息が保護の対象になるが、個人事業用預金の場合は、同一
          人の預金とみなされて「名寄せ」で合算される。
           次に企業向けの融資を受けている場合、融資金額は引き継がれる金融機関
          に対しての返済義務として継続される。このとき、融資の扱いが引継ぎ機関に
          よって変わるため、正常融資先から要管理融資先に融資内容が変更されたり、
          危険融資となって融資を打ち切られるケースもある。事業家にとって金融機関
          選びは、慎重の上にも慎重さを求められる所以である。

                  − 自己責任で預金も自分で守る時代  − 

           わが国では、70年代から他の先進国と同様にペイオフは解禁されていた。
          ただ、この時代は経済成長が大きな伸びを示していた上に、当時の大蔵省が
          強権的な指導力で破綻金融機関の救済を行っていた。政府による管理責任
          によって金融を支配した時代だった。
           その後、90年代に入って金融機関の破綻が相次いだために国民の間に金
          融不安が広がり、政府は緊急避難的にペイオフを凍結して預金の全額保護を
          実施した。既に国には、破綻した金融機関を救済したり、預金額を全額保護す
          る財政的な余力はなく、国民各自の自己責任によって自分の預金を守る時代
          に入ったことになる。
           現在、事業向けの預金としては、決済サービスの提供、要求払い、無利子の
          条件を満たす当座預金がある。ただこれは、信用力の高い法人に利用が限ら
          れているため、当座預金の対象外の企業向けには預金全額が保護の対象と
          なる決済性預金を金融機関が設けており、運転資金などはこちらへの移行を
          お勧めする。
           また、通信販売会社が代金を集めるために利用している郵便為替口座は、
          預け入れ限度額がなく全額を国が保障してくれるということで、ペイオフ対策と
          して注目を集めている。

           最近の金融機関は、メガバンクが大きいからといって絶対安全といえず、信
          金・信組が小さいから不安とも限らない。業態よりも、個別の金融機関の経営
          内容を見て独自に判断する必要がある。
           まず、自分で金融機関の格付けを見ての判断(格付投資情報センター
          スタンダード・アンド・プアーズフィッチ)、自己資本比率の高さの確認、不良
          債権の金額と融資総額とを比較など、今利用している金融機関やこれから利
          用しようとする金融機関を調べることが大切である。
           そのうえで、最低二つ以上の金融機関に口座を開設して資金を分散しおくこ
          とが、リスク管理の上からも大切である。これまでの発想で、金融機関はどこ
          も同じなどという認識でいると、手痛いしっぺ返しを受ける可能性のある時代
          に生きていることをお忘れなく。

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