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               『 動き出した個人情報保護法の影響 』

           4月1日から個人情報保護法がスタートした。
           施行に伴い、生命保険の保険外交員に代わって、メールと郵便物による契約
          顧客への情報提供やプレゼンを行うサービス代行業者は、早速生命保険会社
          から顧客名簿の使用を禁止され業務を停止した。
           このような例は中小企業で顕著に現われているようで、7日に発表された日
          刊工業新聞社とgoo リサーチによる、中小企業と地方自治体を対象としたアン
          ケート調査によると、個人情報保護法が自社の経営に与える影響について、
          「影響の度合いが大きい」18.8%、「影響がある」44.1%と全体の6割以上
          に影響を及ばしている。
           通信販売業や住宅建設など、外部業者への発注の多い業界では、情報管
          理を理由に外部委託先の選別が進んでいる。

           一般に個人情報保護法は、5000人以上の個人情報を保有する事業者が、
          情報の不適切な取り扱いによって事故を起こした場合の罰則規定として知られ
          ている。ただ、その中身の詳細についてはあまり知られていない事柄も多い。
           意外に多いのが、5000人を顧客情報に限定して考える人。そのため、中堅・
          大企業を対象にした法律のように思われているが、この5000人の中には社
          員やその家族、パートやアルバイト、求人応募者の履歴書なども含まれる。こ
          れら個人情報を、パソコンでデータ・ベース化したり、紙やフロッピーデスクで名
          簿として整理したりした、個人データを6カ月を越えて継続利用した事業者を対
          象としている。
           個人情報とプライバシー情報を混同している人も多い。個人情報とは生存す
          る特定の個人を識別することができる情報のことで、氏名や住所などを云い、
          私生活などのプラインバシーとは一線を画す。
           また、万が一事故を起こした場合、行政処分や刑事罰のほかに、被害者から
          損害賠償などの民事責任も追求されるため、対外的な信用を含めて企業には
          大変な影響を及ばすことになる。                    

                    − 起業の守りと新規起業とが混在して − 

           起業の関連では、業務委託を受けて個人データを活用した業務を行っている
          事業者に影響が大きい。
           個人情報保護法の施行前から注目を集めていたダイレクトメール業界では、
          発送代行業、商業印刷業、名簿業者などが大打撃を受け、既に売上げを半減
          させて立ち行かなくなっている企業が出ている。
           一方、これまで販売促進ツールとして大量のダイレクトメールを発送してきた
          小売業、飲食店、クレジット業界などでは、営業方針の大転換を模索している
          企業も多い。ダイレクトメールによる販売促進が、費用対効果で頭打ちになっ
          ていただけに、個人情報保護法が背中を押して新しいスタイルの販促ツール
          の開発が期待されている。
           一方、否応なしに個人データを使わざるをえない外部委託先企業の中には、
          情報管理への対応を認定するプライバシーマーク(P マーク)の取得を目指す
          企業が多い。ただ、P マークは日本工業規格に準拠していて、全社を挙げて
          個人情報の保護処置を講じる体制を整備した事業者であることを認定してく
          れるが、取得するための費用が最低でも3、400万円も掛かるうえ、現在は
          認定待ちの企業が1000社以上ある状態で、簡単には取得できない。
           それでも、社員数が5人程度の小規模の情報処理サービス会社が、会社
          の存亡をかけてP マーク取得に走るほど人気は過熱している。
         
           これから起業を予定している人も、既に起業した人も、個人情報の管理には
          最初から慎重に対応することをお勧めする。
           第一に、起業と同時に自前のプライバシーポリシー(個人情報保護方針)の
          作成、公表を行うこと。特に、ネットビジネスにおいては、欠くことができない。
           第二に、不要な個人情報はすぐ消し去ること。インターネット上の消去だけ
          でなく、現実でもカギ付きシュレッダーは必需品となっている。
           第三に、個人情報は取得時の利用目的以外には絶対使わないようにする
          ために、経営者と従業員とのための情報教育とその共有、外部への監査の
          依頼、職場の整理整頓などが重要である。
           また、4dトラックによる出前シュレッダーサービスで川崎市の大伊豆が話
          題になっているように、個人情報をテコにした起業も各地で色々と展開されて
          いる。
           現在、情報セキュリティの先頭を走っている企業は、今日の個人情報の保
          護規制を見越してあらかじめ設立された企業が多いが、個人情報に関連する
          仕事はまだまだ拡大を続ける可能性が大きい。ダイレクトメールに替わる販
          促ツールにしても、有効なアイデア次第では、無名の企業が大化けする可能
          性もある。
           個人情報保護は、起業にとって攻めと守りが絡み合って、想像もできない展
          開に進みそうである。

          
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