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            『 有限責任会社、日本版LLC、合同会社 』

           これらは、06年度会社法の改正に伴って新しい組織の創設が予定されてい
          る、まったく同じ会社組織に名づけられるいる三つの名称である。
           このほかに、現在使用されている有限会社があり、日本版LLP(有限責任事
          業組合)という組織の創設も予定されていて、起業のための会社組織を考える
          人を戸惑わせている。
           転ばぬ先の起業講座では、合同会社として話を進める。
           現在、会社組織としては、株式会社や有限会社など建物や設備など有形資
          産の効率的拡大を目的とした物的会社が、会社全体の98.5%を占めてい
          る。
           他方、社会のソフト化に伴って21世紀の会社組織としては、人材やブランド、
          特許など知的財産が重要視され、企業価値も無形資産の質と量の豊富さによ
          って決まる時代になっている。
            合同会社は、出資する構成者自らの個性を生かして業務執行にあたる、
         的
会社である。

           株式会社は、株主(出資者)が経営者(取締役)を決め、株式の保有数に応じ
          て利益から配当を受け取るシステム。不特定多数の株主から多くの資金を集
          めて、巨大な設備を作ることで大きな利益を上げることができる点では、重厚
          長大型産業に最適な会社システムと云える。
           また、最高決議機関としての株主総会、執行機関としての取締役会など、意
          思決定のためには多くの時間と労力を要している。
           合同会社では、事業を行うためのルール作りを、出資する構成員同士で自由
          に決めることが出来るのが特色。例えば、出資額が少なくても、大きな利益を
          生む事業プランやアイデアを考えた人が、手厚い利益を受け取れる独自のルー
          ル作りが可能になる。
           また、株式会社と違って会社の意思決定には、所定の機関決定を経る必要
          はなく、事前に決めた独自のルールに従って迅速な対応ができる。    

                    − お金偏重から知恵重視の会社組織 − 

           企業社会の先進国米国では、1977年にワイオミング州で初めてLLCが導入
          され、90年代になってから全米で急速にLLCが設立された。
           2001年の統計では、全米の会社数約513万社のうち、約81万社をLLCが
          占めるまでに増えている。
           また、LLCで運営される業種では、金融(投資ファンドなどの運営会社が多く、
          わが国でも新生銀行の買収でお馴染のリップルウッド・ホールディングスが
          LLCの一社)、保険業、不動産、コンサルタント業、リース業、研究開発型企業、
          ハイテク製品製造業、流通業など人材集約型産業では、ほとんどの業種に網
          羅されている。
           英国でも、2000年にLLP制度が創設され、1万件以上設立されており、ドイ
          ツやフランスにも、似たような有限合資会社組織が近年創設されて、先進国で
          は日本だけが創設されていなかった。

           現在、合同会社の創設に向け法制審議会において詳細の論議が行われて
          いるが、米国で実施されている、税制面での法人税か構成員課税かの選択
          性、出資形態での知的財産所有者が将来の労働を約束しての労務出資など
          は、当面見送られる公算が強い。
           それでも、現在の株式会社と比較すると、お金やモノに偏重した株式会社か
          ら、お金を作る知恵を重視する合同会社の創設は、自分の能力だけを信じて
          ビジネス世界を生き抜こうとする人間にとって、福音に聞こえてくると思われる。
           法案は05年12月には確定する見通しで、06年4月以降には施行される予
          定である。これから起業を計画している人にとって、合同会社の創設は特徴
          ある会社組織の選択肢が増える点で意味がある。
           特に、構成員一人のみの合同会社の設立が認められるので、既に自営
          でビジネスを展開している人も、これから小資本での起業を考えている人にも
          合同会社を注目してもらいたい。

          
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