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               『 公認不正検査士制度が日本上陸 』

           あまり話題になっていないが、米国の公認不正検査士協会(ACFE、本部・テ
          キサス州)は11月、日本で初めて公認不正検査士(CFE)の日本語による資格
          認定試験を実施する。
           この協会は、1988年に組織内部での不正や不祥事の防止、発見、抑止に
          あたる専門的人材の育成機関として発足、現在は世界125カ国に32000人
          の会員を抱え、そのうちの有資格者約13000人が企業内での監査業務、コ
          ンサルタント、リスクマネジメントとして活躍している。
           試験の内容は、不正対策に重要な4分野4科目からなっており、「財務取引
          と不正スキーム」、「不正の法的要素」、「不正調査」、「犯罪学と倫理」につい
          て各125問の4択問題に答えて、各科目75%以上の正解で合格となる。

           企業不正の代表格である会計を例にとると、上場企業の場合は四半期ごと
          に集計して公認会計士がチェックをしたり、人事の異動によって会計担当者を
          替えることで不正の摘発に努めている。
           それでも、監査の目が行き渡りずらい営業部署や製造部署などを中心に不
          正は行われ、新聞紙上で公になったその一部を知ることができる。ただ、刑事
          告発で公になるのは企業犯罪の中のほんの一部で、ほとんどの不正行為は
          闇から闇に葬られているのが現状である。
           これが中小企業となると、年度末近くに税理士が慌しく財務諸表作りのため
          にチャックする程度で、不正検査はまったく行われていないに等しい。そのた
          め、経理担当の事務員の使い込みが発覚すると同時に会社の資金繰り
         がショートしてしまって、倒産に追い込まれる企業は相当数
に及んでいる。
           性善説に基づいて組織運営を行おうとする日本の企業には、構造的に不正
          行為が発生しやすい仕組みが内蔵されている。

                    − 既存の官と新しい民間との衝突 −

           外からの圧力がなければ変われない日本企業にとって、公認不正検査士を
          導入することで、不正の防止や抑止を図るメリットは大きい。
           ただ、公認とは名乗っているが実際は米国の民間団体である点、我が国で
          制度の運営を行うのがリスクマネージメントの一企業である点など、日本人特
          有のお上のお墨付き好きからすると、受け入れに抵抗を示す企業も考えられ
          る。
           最近は、「官から民へ」資格制度も移行しており、ファイナンシャルプランナー、
          臨床心理士、証券アナリストなど、花形の民間資格もどんどん企業社会に受け
          入れられている。
           要は資格者の能力の問題である。このところ、弁護士や税理士など官の資格
          者が犯罪に手を染めるほど金銭的に追い込まれている反面、高給取りの民間
          資格者がマスコミで取り上げられることも多い。

           既存の官制資格と新しく生まれた民間資格との間では、色々な局面で
         ぶつかり合う
が、最終的には時代の要請に応えることのできる民間資格に軍
          配が上がりそうだ。
           公認不正検査士も、企業の危機感が高まるとリスクマネージャーとして単独
          でビジネスが成り立つ可能性がある。また、経営コンサルタントやほかの資格
          者が業務に付加価値をつける意味合いでの資格取得は価値がある。
           特に資格試験の導入初期は、比較的簡単に合格するという定説があるだけ
          に、これからの起業を目指す人も一考に値しそうだ。
           現在、わが国における公認不正検査士の数は16人、うち日本人は13人
          に過ぎない。
           この資格が大化けして花形の資格になるか、企業社会から無視されるか、わ
          が国の民間資格の導入あり方を考える上でも興味深い。 
                        
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