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              『 会計参与の登場が銀行融資を変える 』

           東京三菱銀行は06年5月をメドに、中小企業向けに無担保、経営者の個人
          保証免除の新型融資導入を始めると、大手銀行では初めて方針を決めた。
           これまで中小企業向け銀行融資には、不動産担保と経営者の個人保証が
          不可欠な条件だった。
           起業をした直後、事業が軌道に乗りかけで資産を持たない小企業にとっては、
          資金需要が最も高い時期に銀行融資を依頼して、条件を満たせないために口
          惜しい思いをした経営者も多い。
           多分、今回の東京三菱銀行の方針を受けて、これからは銀行融資が受けや
          すくなると、内心ほっとしている起業家も多いと思うが、安心するのは少し早い
          かも知れない。
           今回の新型融資導入は、来年5月からスタートの新会社法で誕生する中小
          企業向け「会計参与」制度と密接な関連のなかでの導入で、会計参与を理解
          していないことには、銀行融資は難しいからである。

           会計参与は、新会社法で新しく生まれる、株式を公開しない中小企業向けの
          機関の一つ。取締役、取締役会、監査役と並んで、公認会計士と税理士だけ
          が就任できる。
           機関であるだけに、会社の役員や社員、監査役などが兼任することは出来
          ないし、その氏名は会社の登記簿に登記させる。また、役員と同じ立場で決
          算書を作り、会社に対してだけでなく、債権者など第三者に対しても責任を負
          うことになる。
           これまで公認会計士や税理士は、社外の立場から決算書の監査や税務申
          告の書類作成、手続きなどを行なってきた。
           従来の有限会社の延長線上で、今度の新会社法でも認められる取締役一
          人だけの株式会社では、これまで通り公認会計士や税理士が社外の立場で
          決算書や税務申告に係わることが認められている。
           ただ、この取締役一人の会社でも会計参与を設置することができるし、取締
          役が複数の取締役会をもつ会社では、従来と同様の監査役か新設の会計参
          与の設置が義務付けられていることになった。

           東京三菱銀行の新型融資では、この会計参与の作成による決算書とその
          内容が融資の条件となる。
           銀行は、融資リスクを極力負いたくないから、黒字企業が最低の条件となる。
          もし黒字の上に会社の担保や個人保証があるなら、貸出金利は相当低く設定
          される。
           そこで問題になるのが、公認会計士や税理士が個々の会社の会計参与に
          どう対応するのか?
           カネボウの粉飾決算事件では、中央青山監査法人の4人の公認会計士が
          不正な経理処理を意図的に見逃した疑いで逮捕されたが、これに似たような
          ケースは、新会社法の施行以降は中小企業でも予想される。
           今のことろ、公認会計士は負担費用が高いので、会計参与への就任は税
          理士の独壇場になりそうだ。
           現在は、月々2万から3万円が税務顧問の相場になっているが、40%から
          50%の上乗せで会計参与と云うことになりそう。
           ただ税理士は、会社の節税が腕のみせどころで、会計基準に関してはほと
          んど関与してこなかっただけに、新会社法施行以降は多くの問題が露呈しそ
          うだ。
          
           起業に際して、直ぐに会計参与で悩む人は少ないと思われるが、先々には、
          大手の取引会社から会計参与設置を義務付けられたり、公共工事で入札参
          加の条件に会計参与の設置が義務付けられるなど、会計の健全性を図る尺
          度として広く活用されることが考えられる。
           今から、準備を怠らないことだ。               

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