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独立開業
『株式デイトレーダーとしての起業』

Sさん(44)の朝は、6時に鳴る目覚まし時計のベルの音とともに始まる。
別室で家族がまだ寝ているなかを、仕事場兼用の寝室を抜けだして、朝の散歩に出かける。
住まいのマンションから目指す公園までの往復小1時間が、彼にとって大切な運動時間であり、頭の準備運動の時間でもある。
7時には家に帰り、奥さんが用意してくれた朝食を小さな二人の子供一緒に食べて、朝の穏やかな時間は終了する。
仕事場にコーヒーを片手に入ったときから、彼の戦いが始まる。


Sさんは、昨年の年収が2億円を超える株式デイトレーダーだ。
PCを立ち上げると、NY株式市場の最終値を丹念にチェックし、その日のトレ ード戦略を検討する。
8時には、大阪市場の気配値と売り買い注文の株数が表示され、8時20分には東京市場も動きだす。
この時間になると、市場の注文状況のチェックに全神経を尖らせている。ここで出来る限り多くの銘柄の注文状況を確認することが、その日の朝からの稼ぎを決める要因になるから、否応なしに真剣にならざるを得ない。


5年前まで、Sさんは大手情報サービス会社でシステム開発の管理職をしていた。
そのまま会社に勤めていたら、多分50歳を前に職場で行き場を失って自己都合で辞めざるを得ないと漠然と考えていた。情報システム会社では、単調で長時間勤務のシステムエンジニアとして働くのは、せいぜい40歳までが限界だ。
その後は、同じ情報サービス会社を作って独立したり、まったく畑違いの学習塾を開いたり、中小企業のシステム構築で上手く横滑りする人もいるが、そのまま会社に残り続ける人は、5人に1人もいなかった。


40歳を目前にしたSさんは、それまで趣味で続けていた株式投資で起業することに着目した。
丁度、米国でITを駆使したデイトレーダーが90年代に誕生して大きな利益を上げており、Sさんも会社勤めのかたわら株式投資を始めて、デイトレーダーの可能性に大きな魅力を感じていた。
デイトレードは、一日単位の株式相場の変動のなかで利益を出すことを目的に、資金を口座にキャッシュで持つことが特色。米国で考案され、株の暴落リスクを削減するための取引方法として広まった。
彼は、子供はまだ小さかったが、運良く大きな借金もなく、奥さんも彼の起業に後押ししてくれたことが大きかった。


39歳で会社を辞めたSさんは、慎重に最初は実際の株の売買は行なわずに、ペーパートレードによるシュミレーションや株式セミナーに参加する学習期間で2カ月を過ごした。
彼は、株取引に素人ではなかったが、ある程度デイトレード取引に自信を持てるようになってから参加しようと思っていた。
それでも、実際に株の売買を始めてみると最初の3カ月は損失続きで、このまま一度も軌道に乗せることなくデイトレーダー稼業も終わりかと思う時期もあった。
運良く米国の相場の持ち直しと一緒に、彼の取引も利益を上げ始めたが、後1月低調な相場が続いていたら今の彼はなかった。
株式取引の怖さを知っているだけに、Sさんもこの仕事をいつまでも続けてはいれないことは認識している。
特に、反射神経と集中力と、現時点の株価の動きより少しだけ先を読む能力は、年齢的にもいつまでも続けることは無理だ。
それと、一日家族以外には誰とも会わない孤独の日々は、疎外感が強くなって、自然と人とのつながりを求めている。
先のことは分からないが、今日も稼ぐかやられるかの一日を過ごしている。


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