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起業を目指す人のための「転ばぬ先の起業講座」
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『 大豆へのこだわりが、起業の原動力に 』
起業家にとって、モノやモノゴトへのこだわりは起業するにあたって、大変大
きな意味を持っている。北九州出身のKさん(28)がこだわったのは、大豆だ
った。
子どものころから、お母さんに言い聞かされた大豆を食べることによる健康法
を守り続け、中高生のころは部活のエネルギー源として納豆を食べ、受験の頃
には記憶力を上げるに豆乳を毎日飲み続けた。
その甲斐あって東京の大学に入ることは入ったが、彼は21歳の時に辞めて
しまう。将来は、大豆を使ったオリジナル商品による起業への思いが強くなり過
ぎたのだ。今度は、会社勤めをしながら事業資金作りにまい進する。
この時期に、力強い同志に巡りあっている。彼は、東京で結婚したのだ。
24歳の時には、事業ターゲットを大豆を原料にした健康食品事業に絞込み、
翌年奥さんと一緒に貯めた2000万円を元手に会社を設立した。
従業員には以前からの友達2人が参加して、有効成分が多く含まれている大
豆の胚軸から作るサプリメントを商品とした。
製造は外部メーカーに委託して、通信販売事業のスタートである。
PRは事前に予定していた通り、衛星放送の通販番組、新聞広告、折込チラ
シなど次々に広告を繰り出した。
特に、衛星放送の放送日には、会社の全員だけでは対応しきれないと思い、
奥さんの親族にまで来てもらって準備万端だったが、ちらほらといった程度の
申込みしかこなかった。
当初の資金も3カ月ほどで底をついてしまい、ついには従業員の二人もの辞
めてもらわなくてはならなくなった。
瀬戸さんとしても撤退を考えざるをえなくなっていた。精神的にも追い詰めら
れて、とても冷静な判断が難しい環境だったが、彼はこの窮地に思い掛けない
ことに気付いた。
それは、サプリメントの売れ行きが悪いので、リピーターになってくれそうな大
口のお客さんには、北九州でパン屋をしているお父さんが作るクッキーをプレゼ
ントしていたが、その豆乳とおからで焼いたクッキーを売ってほしいと希望する
人が増えてきたのだ。
まったく想像もしなかったことだが、12,800円のサプリメントはさっぱり売れ
ず、売る気はまったくなかったおまけの、パン屋さんの作るクッキーの方が売れ
始めたのだ。
起業で、当初予定をしていた商品やサービスが予定通り売れる確率は2割か
3割で、ほとんどの起業家は当初の予定から方向転換を余儀なくされている。
これは、起業家の予測判断が間違っていたということもあるが、環境の変化
が激しかったり、ニーズの読みを誤るケースがほとんど。
米国で起業を研究しているMBAの中には、この方向転換を最初から織り込
んで、起業の失敗を防ぐ研究をしている教室があるほどだ。
Kさんは、直ぐ奥さんと手分けして都内の百貨店にクッキーの営業をして回
る。狙いは、百貨店の催しもの会場で定期的に開かれる名品市での販売だ。
最初は苦戦続きだったが、新宿高島屋が出店を認めてくれ、それからは都内
の百貨店のほとんどで販売されるようになった。
この成功に満足することなく、Kさんは次の展開に着手している。大豆のサ
プリメントの通信販売への再挑戦である。
またクッキーの販売も、百貨店での販売と同時にインターネットにおいても、ダ
イエットクッキーのコンセプトで大々的に売り出し、楽天市場やヤフーショッピン
グでも、今や売上げランキングのトップ企業になっている。
起業の成功、失敗には運がついて回る。ただ、運の一言で済ましてしまうほ
ど単純でもない。
運を引き寄せる力のある人と、ない人がいるし、運がいつもいつも付いてくれ
るわけでもない。
最後はやはり、やる気と能力、そして起業に対する考え方と言うことになるだ
ろう。
Kさんの場合、起業の方向転換とその後の迅速な行動力は学ぶべき点が
多い。彼の会社は、起業後のこの3年間で売上げを、2千万円、9億円、24億
円と伸ばし、今年5月には札幌証券取引所のアンビシャスに上場した。
子どもの頃からの大豆へのこだわりが、起業を実現し、まだまだ成長を続けて
いるのである。
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