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　　　　　　 　　　　『 ゼロ金利が解除された不動産の起業は？』　

　　　　　　　　　　　７月１４日ゼロ金利が解除され、５年４カ月間に渡った日銀の金融メカニズム
　　　　　　　　　　が機能しない異常事態から決別して、やっと平常の状態に戻ることになった。
　　　　　　　　　　　これまでの公定歩合にあたる補完貸付制度による基準利率も、即日０．１％
　　　　　　　　　　から０．４％へと引き上げられた。
　　　　　　　　　　　金融における大きな環境の変化であり、この変化は起業にも大きな変化をあ
　　　　　　　　　　たえる。
　　　　　　　　　　　所が、人間は環境に慣れやすい動物なので、ゼロ金利の異常事態が長いこ
　　　　　　　　　　と続くと、それが平常の状態と錯覚してしまう。
　　　　　　　　　　　ゼロ金利に後押しされて、今を盛りと好況に沸く不動産業で起業を考える人
　　　　　　　　　　の中には、この環境の変化を認識していない人がとても多い。

　　　　　　　　　　　首都圏でのマンション開発の「ランドコム」（設立・１９９９．１）、首都圏で中古
　　　　　　　　　　ビルの再生事業の「サンフロンティア不動産」（９９．４）、関西でミニ開発を展開
　　　　　　　　　　している「ファースト住建」（９９．７）、関東でマンション開発の「ジーズクリエイト」
　　　　　　　　　　（９９．７）、不動産オークションと販売の「アイディーユー」（９９．９）、東京でワン
　　　　　　　　　　ルームマンションを手掛ける「エスグラントコーポレーション」（０１．１２）。
　　　　　　　　　　　これらの会社は、「２０００年前後に設立された会社で、売上げ１００億円を突
　　　　　　　　　　破するビジネスは不動産業界だけ」と云われるように、既に１００億円どころか、
　　　　　　　　　　２００億、３００億円にも達し、しかも上場を果たした会社ばかりである。
　　　　　　　　　　　この他にも、不動産ファンド運営によって上場した会社も多く、いかに不動産
　　　　　　　　　　業界はゼロ金利によって多くの収益をあげているかが判る。

　　　　　　　　　　　ただ、ここで注目してもらいたいのは、ほとんどの会社が９９年に集中している
　　　　　　　　　　点。実は、９７年に拓銀、山一が倒産して、銀行の膨大な不良債権が問題にな
　　　　　　　　　　り、９９年３月には最初のゼロ金利政策を日銀が実施したときだ。
　　　　　　　　　　　この時期、どこの会社もいつ自分の会社が倒産するか不安な時期で、地価も
　　　　　　　　　　そのほとんどが下げ止まる気配をみせていなかった。
　　　　　　　　　　　上記の会社の経営者は、この時期に会社の設立と下がり続ける土地を買う
　　　　　　　　　　リスクを犯していた人たちだ。
　　　　　　　　　　　不動産の素人が、不況の最悪期にいきなり土地を買ったり、会社を設立する
　　　　　　　　　　わけもなく、彼らは事前にそれなりの準備をしていた人たちでもある。

　　　　　　　　　　　「サンフロンティア不動産」の堀口智顕社長は、２９歳で不動産業界に入り、３
　　　　　　　　　　１歳で最初の起業を果たすも、６年間で不動産バブルの崩壊に巻き込まれあえ
　　　　　　　　　　なく撤退。
　　　　　　　　　　　２度目の起業となる９９年４月までの４年間を、前の会社の残務処理と新たな
　　　　　　　　　　会社のプランニングと当座の生活費を稼ぐ仕事をしていた。
　　　　　　　　　　　この時期に京セラの稲盛和夫イズムに出会い、「会社は、経営者の器以上に
　　　　　　　　　　はならない」ことを知って、猛烈に勉強を始めている。
　　　　　　　　　　　不動産業界でノウハウを培い、そのノウハウを生かして起業する、この当たり
　　　　　　　　　　前のことが起業においては大切のようだ。

　　　　　　　　　　　「愚者はブームに踊らされ、賢者はブームが終わるのを待つ」と云われる。
　　　　　　　　　　不動産業界は、金利上昇が身近に迫っているため、消費者の需要は一時的に
　　　　　　　　　　高まるだろうが、その後は当然低迷期に入る。
　　　　　　　　　　　今、不動産業に入って起業を目指すなら、この次の景気の山をメドに考えるこ
　　　　　　　　　　とだ。これは不動産に限らず、金融、自動車、住宅など、ゼロ金利に後押しされ
　　　　　　　　　　た他の業界にも云えることである。
　　　　　　　　　　　逆に、今が苦しいピークで、これから金利が上昇するに伴って、息を吹き返す
　　　　　　　　　　業種も存在する。その業種を探して、先物買いに走るのが起業で上手く軌道に
　　　　　　　　　　乗せるコツではないか。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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