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『起業家としての折口雅博さんとは?』

平成19年6月12日

 介護事業の最大手「コムスン」による介護報酬の虚偽申請、過大請求、処分逃れが社会問題になっています。
 コムスンと云えば、大不況だった90年代半ば以降に事業を始めた起業家のなかでは、最も成功した一人折口雅博会長が経営する会社です。
 今回のトピックでは、起業家折口雅博さんを検証してみたいと思います。


 折口さんが経営者として、同時期以降に会社設立をした他の経営者より一段高く評価される要因は、グッドウィル・グループの売上高にあると思います。
 06年6月期の売上高は、約1860億円に達しています。しかも、人材派遣最大手のクリスタルを買収した07年6月期には、約5500億円と3倍に膨れ上がる予定です。
 同じ時期に起業して会社を大きくした起業家と云うと三木谷浩史会長がいますが、彼の楽天の06年12月期の売上高が約2033億円です。
 この二人だけが1千億円企業を作りましたが、他の同時期の有名起業家は、藤田晋さんのサイバーエージェントが約600億円、野尻佳孝さんのギブアンドテイク・ニーズが約340億円、堀江貴文さんに至っては売上げがなくなっています。
 介護事業という社会貢献度の高い事業によって、この売上げを上げていた折口さんは、経団連の理事にも就任しています。


 ただ、コムスンの設立は、「父親の介護が自分の原点」と常々口にする折口さん自身の手によって生まれた会社ではなく、99年に社会福祉法人せいうん会理事長 榎本憲一さん(故人)から買い取った会社です。
 折口さん自身が95年に起業した会社は、イベント向けに短期間の請負仕事を行なう人材派遣業の「グッドウィル」でした。株式の店頭公開を行なって資金を集めた人材派遣会社が、介護事業の会社を買収したと云うのが分りやすい構図です。
 しかも、2000年から介護保険制度が施行され、ドンピシャのタイミングでコムスンの介護事業所を全国に設置していきました。
 今だから、介護事業への高齢者のニーズが大きいことを当然のように思えますが、介護保険がスタートする時点では、この事業にこんなにニーズがあるとは予測できませんでした。
 その意味では、折口さんはリスクをとって事業所展開を全国で行い、約6万5千人もの介護利用者を獲得した優秀な起業家です。
 もう一つ、コムスンは、他の施設が行なっていない24時間巡回介護を独自で行なっています。介護をする側の論理では、家庭の主婦が大半を占めるヘルパーさんが、24時間勤務体制に従事することは大変なことです。
 色々批判もありますが、折口さんの構築した24時間介護体制は、介護を受ける側にすると、画期的な介護システムです。


 他方、元来が人材派遣会社が起業家としてのスタートですから、人の使い方には相当問題があったようです。
 これは、ヒルズ族や勝ち組と呼ばれる起業家に共通する組織手法のようですが、本人を慕って入社した人たちへの待遇が相当劣悪だったようです。
 コムスンにおいても、管理職からヘルパーさんに至るまで、労働条件や賃金など他社との比較で悪るかったことが、今回コムスンが起こした問題では各地で元社員のリークを生む原因にもなってます。
 また、折口さん自身が、自家用ジェットを保有したり、田園調布に自宅を買ったり、高級外車を何台も乗り回したり、介護事業の監督官庁の人たちから目を付けられていました。自分で自分の首を絞めていたようです。
 わたしは、折口さんだけでなく、色々問題を起こしている起業家に共通しているのは、その起業に対する「考え方」に大きな問題があると思います。
 仲間うちで小さな事業を行なっているうちは問題ありませんが、事業が大きくなって、多くの従業員や取引先、株主などステーク・ホルダーと呼ばれる人が増えてくると、最初の起業の考え方がどうしても問題になります。
 今、起業を考えている人も、自分は何故起業をするのか、今一度最初の一歩の問いかけをしてみてはいかがでしょうか。


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