転ばぬ先の起業講座
年齢を重ねて、真剣に人生と仕事を考えるための起業サイト
携帯からご覧の方は起業相談携帯用サイト

『人材派遣業で周回遅れの起業に勝ち目は?』

平成19年7月28日

 人材派遣業での起業は、90年代後半から現在まで、右肩上がりで増え続けています。03年度には1万4千5百だった事業所が、05年度には3万1千と2年間で約87%も増えています。
 しかも、以前は派遣事業以外の会社が、派遣事業へ新規参入するケースがほとんどでしたが、最近は派遣会社で働いている登録派遣の人や派遣会社に勤めている人が、独立開業して派遣会社を作るケースがとても多くなっています。
 キッカケは、親しくなった派遣先企業の担当者の口から、「独立して派遣会社を作ってはどう?」といった誘いがあるようです。
 この誘いの背景の一つには、どこの企業も人集めに苦労していて、出来るだけ親しい派遣会社を数多く作っておきたい。二つには、派遣料を少しでも安くしたいために、競争で競わせる人材派遣会社を増やしておきたい、と云った抜け目ない自社のためのリスクヘッジの狙いがあるようです。
 よく、人材派遣の仕事は35歳までは優遇されるが、それ以降は賃金も仕事先も頭打ちになって、派遣の会社には居ずらいといいます。その年齢に近づいている人たちの独立開業につながっています。


 このような派遣会社の関係者が参入するのは、特定労働者派遣と呼ばれる業態で、派遣する人を社員として雇用するための会社を設立します。
 設立に際しては、労働基準監督署に届出をするだけで一般企業と同じように事業展開ができます。ただ、現在はここでも社員を集めることが大変で、ハローワークを通じての募集や、インターネット求人によって集めています。
 ネット求人では、本当に採用できるかどうか分らなくても、40〜60万円の費用がかかりますから、起業した人にとっては大変な負担になります。
 このような会社の設立当初は、そのほとんどで社長自身が一方で派遣社員で働きながら、他方では派遣先の会社探しのための営業をし、同時に社員募集を行うという、一人三役の仕事をこなさなければなりません。


 一方、派遣会社に予め登録した人を派遣先企業に送って仕事をしてもらう一般労働者派遣は、会社設立に際して1千万円の基準資産額を預金していることが義務付けられ、20u以上の事務所を用意して上で労働基準監督署へは許可を取らなければなりません。
 現在、人材派遣大手と云われる会社は、そのほとんどがこの一般労働者派遣の会社です。
 多額の資本が必要なうえ、現在は人集めの募集費用が高額になってしまって、既存企業が新規事業として始めるのがほとんどで、個人が新たな起業として立ち上げるケースは少なくなっています。


 そこで人材派遣による起業の勝ち目ですが、わたしは会社を作って軌道に乗せるまでは比較的楽な業種ですが、それから先が真っ暗闇の業種だと思っています。
 @ 90年代後半からの大恐慌並みの不況期に緊急避難的に成長した業種ですから、わが国の経済が正常に戻ると存在意義が急に薄れていると思います
 A 社会的に格差社会の元凶のように云われている業種です。特に、最大手のグッドウィルやフルキャストなど大手企業の不正が次々に明るみにでて、雇用状況が好転した現在では、人集めに大変な費用と労力が必要になり重荷になっています
 B 現在の人材派遣会社のモラル低下は著しく、06年度の脱税告白件数では、従来のチャンピオンのパチンコ、飲食、建設を抜いて、いきなりの第一位になっているほどです。人材派遣は競争が激しくなっていて、人を確保するために脱税する会社がとても増えています
 C わたしの直感と経験ですが、市場のパイの大きさを考えずに、誰もが競って
 起業に走るような業種には将来がないと思って間違いありません


 ただ、この業界でもイノベーションは存在していて、1時間単位で近くのバイト先に登録者を紹介する派遣会社や、育児中の主婦の方の空き時間を利用して派遣する会社など、新規性のある仕組みを作り出すことができた会社には、成長の余地は十分残っています。
 このような新規性を打ち出せずに、他社の真似だけで設立しても激しい競争を生き抜くのは難しいのが人材派遣の世界だ。


 <<トピックスインデックスに戻る

起業に最適な時期などありません
思いついたその時が、起業相談のタイミングです
起業相談はこちらをクリックしてください


起業のための
こんな話、あんな話が
掲載されているメルマガです
    ↓ 
  
メルマガ購読・解除
起業を目指す人へ 「転ばぬ先の起業講座」   毎日発行
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
    
    


「転ばぬ先の起業講座」30歳を過ぎて真剣に人生と仕事を考える時の起業サイトです。