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『不況期における起業のタイミング』

平成20年7月4日

 今年に入って急激に景気は後退しています。
 その原因は、一つが勤労者の収入が伸びないこと。政府も日銀も2000年代初頭の不況期には、大企業の経営が安定すると日本経済の流れはよくなると、ゼロ金利政策で大企業を支援しました。その結果、増えた企業利益が株主配当や役員給与に回っただけで、国民の収入を大幅に押し上げるまでには至っていません。
 逆に、ゼロ金利によって大量に世界にばら撒かれら円が、投機資金に姿を変えて原油や、農産物の価格高騰の片棒を担いでいます。原因その2は、資源や農産物の価格上昇です。
 わが国はこの15年近くに渡って、物価はほとんど上昇せず、99年から04年に掛けてはデフレによって価格の下落状態が続きました。この経済環境が、急速に変化しています。


 そこで重要なのが、起業のタイミングです。このような不況期に起業することは、正解なのか間違いの元なのか。
 従来から起業に関して言われてきたのは、景気の良し悪しは起業とはまったく関係ないこと。景気が良くないと言うことは、お金の流れが細っていることなので、起業のためにはあまり良い環境とは言えませんが、お客さんのニーズに応えた起業ならば失敗することはありません。
 古くから会社経営をしている人に言わせると、不況期に起業した会社は強い経営をしていて、景気が良くなると見る見るうちに業容が大きくなると言います。


 今回、現在の原油高騰に似ている1974年の第一次、1979年の第二次オイルショックの時の結果を調べてみました。
 まず開業ですが、中小企業白書によりますと企業数ベースで、74年に起業をした会社が統計に反映される75〜78年は、開業率5.9%です。79年が反映される79〜81年も、5.9%です。
 この数字は、過去30年では最も高い開業率で、その次ぎは04〜06年の5.1%です。ちなみに、74年はわが国の高度成長期の終わりと重なりあうために、経済成長率はマイナス0.5%という散々な年でした。それでも、起業自体は高かったのです。


 そこで、この時期に起業した会社の結果がどうなったか、当然現在まで事業継続してる詳細の数字は分りませんが、有名企業で探してみました。
 74年の創業で、大手企業の関連会社などを除きますと、パチンコホール向けのコンピュータシステムの構築をしているマースエンジニアリング。創業当初は、各種電子機器の設計・試作並びに製造・販売という、当時としては先進的な事業を行なっていました。ただ、得意の業界へ入り込めずに経営不振が続いていた時に、遊技場向け景品管理システムの開発を手掛けて事業が軌道に乗ったようです。
 また、中村ブレイスは、障害者のための義肢装具製作を行なっている会社で、社長の中村俊郎さんがアメリカから義肢装具の技術を持ち帰って直ぐに起業したため、オイルショックの真っ只中での起業になったようです。


 79年の創業は、防犯用センサーのオプテックスがあります。世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発したことで有名になり、現在も国内外にセンサーの販売を行なっています。アパマン子会社になっているシステムソフトも、79年に当時珍しかったシステム開発で創業し、その後ゲームソフトや電子辞書を販売して、現在は不動産ポータルサイトの運営に存続を賭けています。


 74年、79年の創業会社を調査した印象では、後の産業に影響を与える会社はほとんど誕生していません。物価の上昇と景気の後退の中では、起業した会社が存続することはとても難しいと思われます。
 このような時期は、お客さんのニーズが大きく変化する時期で、省エネ型商品や高品質の格安商品が売れる一方、従来型商品に対しては見直しが行なわれます。特に、前回のオイルショックの時と違って、今度はデフレ経済の後にきたオイルショックですから、顧客ニーズは相当減少すると思われます。
 従来の商品やサービスを提供して、従来の発想での起業は、これからは難しそうです。慌てずに、お客さんのニーズの変化を見極めてから起業でも、決して遅くはないようです。


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