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『農業起業の理想と現実の間を埋めるために』

平成20年8月14日

 農業に対する関心が非常に高まっています。
 最近は、地方自治体が主催する農業起業のための講演会や講習会などには、予定定員の倍近い人が集まることも珍しいことではないようです。特に、20代、30代の若い人には農業への関心が高く、男性、女性の性別に関係なく参加すると聞きます。
 確かに、最近のわが国で発生している「食の安全・安心」にかかわる事件や出来事を見ていますと、外国産の農産物には任せられない気持ちになります。国産の農産物にもビジネスチャンスが大きいように思われます。
 また、講演会や講習会を主催する自治体も、人口の減少が続くなかで新たに農業で起業をしようとする人たちが集まるわけですから、歓迎一色になって農業の負の部分に関する話には自然と口を閉ざしがちです。
 ここでは、現在の農業が抱える問題点について指摘しておきたいと思います。


 農産物生産者を一口に農業で括ってしまいますが、大別しますと事業としての農業と家庭内事業としての農業と、二つに分けることができます。起業をするにあたっては、しっかりした事業計画書と高額の事業資金を準備する事業を行なうのか、生活資金だけに重点をおいて起業をはじめる家庭内事業にするとか、選択しなければなりません。
 1990年代後半の不況期以降、地方の企業、特に建設・土木会社などが農業へ参入しましたが、現在はその多くは撤退しています。事業としては、収益が想像以上に少ないことに原因があると言われます。
 現在、農業だけの一世帯の平均収入は、約300万円といわれます。都市部での生活と違って、食べものの相当部分を自前で作ることによって自給が可能ですので、食費の金額が少なくすることができますが、それにしても収益は少ないことを覚悟する必要があります。


 収益だけはありません。農業を始めるにあたっては、サラリーマン時代の頭の切り替えが必要です。
 小売業では、商品を仕入れて販売するとお金になります。製造業でも、製品を作ってメーカーや問屋に降ろすとお金になります。所が農業では、農地を整地して種を植えて、作物ができるまでには4、5カ月はかかります。果実などになりますと、実がなるまでは樹から植えて数年はかかります。
 サラリーマン時代とは、仕掛けから販売、換金までにかかる時間がまったく違います。その間無収入ですから、何かしら他の収入手段も考えないと生きていけません。
 また農業技術は、実際に畑なり水田で仕事をしてみると分りますが、大気の気温との絡みで色んな引出しを用意しておかないと、まったく作物の実らない年を過ごさなければなりません。


 農業が怖いのは、霜や大雨や干ばつなど、気候次第で全滅してしまうことです。ただ、これまで大半の日本人は数百年以上に渡ってこの農業を職業としてきたのですから、決して証券ディーラーやファンドマネージャーのように不安定な職業ではないのです。
 また、農業の場合は土地に住み着いて仕事をするわけですから、最初に農業をはじめた土地が終の棲家になる可能性が高くあります。農業起業にあたっては、自分の人生をどこで生き終えるか、ここまでを考えてはじめる必要がどうしてもあります。
 10年度、20年後の将来を考えますと、農業起業には大変大きな可能性が秘められています。同時に、小売業やサービス業、製造業では考えられない別種の問題も抱えています。
 多分、1年、2年は考えたうえで結論を出すような問題です。講習会などで話を聞いて安易に結論をださず、よく考えることが必要です。


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