平成２０年は、生活習慣病に国を挙げて立ち向かった年として歴史に残りそうです。４月１日にスタートした特定健康検査・特定保健指導（メタボ検診）は、厚生労働省の主導で全国の４５歳以上、７４歳以下の全ての男女を対象に生活習慣病検診を行なうもので、実際に目にみえるカタチで患者数を減らすことができたなら、画期的な試みと云われると思います。
　事前の予測では、男性の２人に１人、女性の４人に１人が生活習慣病に悩んでいるか、その予備軍とされていますから、何もしないで病気が悪化するのを待つよりは、メタボ検診によって正確に症状を把握して、必要な治療や予防的な運動をすることは大切です。

　このような大規模な試みは、一方では新たなビジネスチャンスを生むことになります。最もよく知られているのは、任天堂の「Ｗii Ｆit」。
　「リビングでフィットネス」がキャッチフレーズで、国内で２６０万本以上も売っているＷｉｉの専用ゲームソフトです。
　また、乗馬フィットネス機器「ジョーバ」、「ロデオボーイ」と言った健康商品も、座っているだけでウエストを絞る運動ができると人気になっています。
　他にも、食品メーカーや薬品メーカーなどが、メタボ検診にタイミングを合わせた健康食品の販売を行なったり、医療メーカーが減量プログラムを販売するなど、メタボ検診を巡る商品販売は過熱しています。

　そんななか起業家の注目を集めたのが、米国生まれの女性向け３０分フィットネスです。通常サーキットトレーニングと呼ばれるもので、普段着のままトレニング場に入って、概ね９種類のトレニングマシンとステップ板を使って、３０分程度の軽い運動を行なうものです。
　米国は、わが国とは比べものにならない肥満社会ですから、各地に３０分フィットネスが誕生していて、最大手の米国・カーブスはフランチャイズチェーン店を全土に約７千店も出店しています。
　わが国でも、カーブスが２００５年から営業を開始していて、現在は全国に約６９０店を数えるまでに市場を広げています。ただ、３０分フィットネスを普及させるための起爆剤となるはずだった、メタボ検診がスタートして半年なのに、早くも３０分フィットネスの中には経営に赤信号の店舗が出始めています。

　現在、３０分フィットネスが行き詰る原因となっているのは、
　�@ 大型フィットネスクラブもメタボ検診をビジネスチャンスと見て、新たな施設建設を増やしている
　�A お客さんの中年女性は他店への移動が激しくて、経営の基盤となる顧客数が安定しない
　�B メタボ検診の保健指導を得て多くのお客さんが誕生するはずだったのに、実際にはあまりお客さんの絶対数が増えていない　などは上げられます。
　特に、お客さんの絶対数は大きな問題で、不景気の影響なのか、今は他人の反響を聞くことに徹しているのか、潜在的な入会予備軍は多いはずなのに、実際に入会する女性はまだ少ないようです。
　フィットネス関係者は、現在は３０分フィットネスがお客さんの需要よりも、企業の供給側が主導して市場を形成しているが、０９年以降メタボ検診に対する評価が定まってくると、ビジネスとしては安定するのではないかと見ているようです。
　今は、カーブスはじめフランチャイズ本部が加盟店集めに大騒ぎしたのに、お客さんの方が冷静だったのが現実です。

　そんなこともあってか、０８年１月から９月までの１０ヶ月間の３０分フィットネスの店舗数は、約１５％増とフランチャイズ各本部が年初に予測した数字を大幅に下回っています。
　カーブスの場合、加盟店のほとんどは中小企業です。親会社のベンチャー・リンクが組織する「ビジネスクラブ」を通じて、加盟店を募集しています。ただこれは特殊な例で、他の本部は大半が個人が加盟店経営を行なっています。
　カーブスの抱える問題点は、一つは加盟のための初期投資額が他の３０分フィットネスに比べて高いこと、二つ目はベンチャー・リンクの経営が厳しく、このままでは破綻しかねないことです。
　カーブスへの加盟にあたっては、このような事情をよく認識したうえで加盟を考えることです。

　わが国の中高年の健康志向は、今後も高まりはすれ衰えることはないと思います。それに伴い、３０分フィットネスへのニーズも次第に高まることは間違いありません。
　現在は、大型フィットネスと３０分フィットネスのすみ分けがはっきりしてなく、同じレベルで考えられていますが、本来同じ運動でもこの２つの施設は、まったく方法で同じ健康の目的のために作られています。
　時間はかかると思われますが、それが広く理解されたとき、３０分フィットネスの利用者数は一気に増えると思われます。
　フランチャイズへの加盟にあたっては、十分な準備とタイミングを図る必要がありそうです。

　３０分フィットネスで開業を考えるなら 参考にしてください