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『コンビニ開業と見切り販売の行方』

平成21年6月25日

セブン−イレブンは公正取引委員会から、弁当、おにぎり、惣菜などデイリー品の期限間近か品を値引販売する、加盟店の「見切り販売」を禁止する行為に対して改善命令を受けました。
セブン本部としては、加盟店が値引き販売を行なうことにより、お客さんが正価品より値引品を求める行為に危機感を持っています。また、本部ではなく、加盟店独自の判断による値付け行為を嫌っているとも云われます。
ただ、加盟店にしてみると、デイリー品はコンビニ販売の約7割に達する主力商品です。仕入れた全ての商品に仕入請求がなされ、廃棄処分にしますとその全額を加盟店が負担することになります。
公取委の調査でも、1店当たりの廃棄金額は年間約540万円にも達するようです。最近は、環境問題やもったいないの精神が社会全体に浸透していて、コンビニから出る弁当の無駄に対しても、厳しい目が向けられています。


このところ、コンビニ店を巡る経営環境は追い風が吹いました。昨年4月から順次スタートした、タスポ効果は既存店の売上向上に大きく寄与しています。また、これまで価格競争とは無縁と云われたコンビニ定価も、最近はPB(プライベートブランド)商品を店頭に並べるなど、価格の競争力もついています。
ただ、そうは云っても、既存のコンビニ店はこの10年近く、年々売上げを落とす低迷が続いていて、20代、30代の若い男性をターゲットにしたビジネスモデルは、頭打ち状態になっていました。
そこで、PB品にしても、価格に敏感な中高年層の取り込みを狙ってのものです。また、野菜や肉など生鮮品を導入したり、女性だけをターゲットにした店舗の開発など、新たな顧客作りに策を練っています。
それでも、年々売上げが減少する加盟店には、不満が充満していました。特にセブンは、売上げの下がっている加盟店に対して、契約更新を行なわないなど、締め付けも厳しいものがあります。
ローソンやファミリーマートでは、加盟店の中に企業も入っているため、本部から一方的な指示はできません。その点セブンは、全ての加盟店が個人オーナーでしかも当人が店頭に立つことを条件にしていますから、ほぼ一律に本部の意向が加盟店に伝わる仕組みになっています。


今回、公取委の命令に対し、セブンは「見切り販売」を認めると同時に、廃棄した場合のデイリー品の15%については、本部が負担をすることにしました。従来なら、考えられないほどの本部の譲歩です。
多分に、コンビニ店に対する社会の厳しいイメージを払拭する狙いがあるようです。タスポ効果によって、コンビニ店への加盟を考える人も増えています。ただ、それでもコンビニ店経営は大変です。
一つには、圧投的に本部に有利なコンビニモデルの契約に対して、最高裁が本部の有利な権利を認めています。今後、契約に対する民法の債権法改正が行なわれ、フランチャイズ全体に契約の見直しが行なわれると別ですが、今の所は本部側が不平等なくらい有利です。
二つには、セブンの場合は、現在のコンビニモデルを作り上げた鈴木敏文会長がいるため、この成功事例を勝手に変えられない事情があります。セブンは15年、ローソンは10年と云った長期の契約期間。売上げ管理は全て本部が行い、加盟店は従業員のようにただ売りまくるだけなど、通常の商行為では考えられない本部に有利な仕組みが出来上がっています。


今回、公取委の改善命令と云うことで、テレビ、新聞が大きく報道しましたが、本来コンビニ大手はマスコミのスポンサー企業と言うこともあり、ほとんど内実が大きく取り上げられることはありませんでした。
そのために、タスポ効果でコンビニ開業が儲かるというと、多くのフランチャイズ起業希望者が説明会に参加しています。現実は、この数年ほとんどの加盟店の厳しい経営環境は変わっていません。
はっきり云ってコンビニ店は飽和状態です。現在のコンビニ店舗数は4万2千店強。コンビニへの買い物に行く購買者人口を、全人口1億2千7百万人の中の約9千万人とします。すると、商圏人口は2140人になります。通常、コンビニ店が営業可能な商圏人口は3千人とされていますから、いかに店舗が多いか分かると思います。
ただ、加盟店にとって食べていけないほどの飽和状態でも、コンビニ本部にとっては店舗は多ければ多いほど、売上げは増え利益も上がります。はっきり云って、加盟店が食べていけなくても本部は関係ないのです。そのため、現在は少しでも売上げの多そうな店舗があると、直ぐ周辺にライバル店が出店します。
競合するコンビニ会社ばかりではなく、同じ系列のコンビニまでもが出店するのが現在のコンビニ業界です。
加盟を考える人は、この現状をよく認識した上で行動してはいかがでしょうか。


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