これまで数々の不祥事、事件を起こしてきた日本相撲協会が、今度ばかりは団体の存続さえ危ぶまれる大問題に直面しています。力士と親方が関わった野球賭博問題です。背後に暴力団が介在していて、賭博が反社会的な団体の資金源になっていることで、これまでになく厳しい視線が大相撲に向けられています。しかも、これまで外国人力士ばかりの日本の国技と皮肉られているのに、野球賭博では日本人の親方と力士ばかりです。

　過去に、職場でマージャンや高校野球の賭けをした一般人は多いと思います。１９９０年代前半あたりまでは、社内グループでの賭けはまったく問題視されませんでした。その後、見せしめ的に警察に検挙されるケースがありましたが、今はマージャンやゴルフでプレーヤー同士が小さく賭ける程度です。暴力団が背後で胴元となっている賭けは、ほとんど警察にマークされています。

　今回の相撲協会がよい例ですが、昔ながらの仕組みを踏襲している業界には、暴力団とのつながりのある個人や法人は少なくありません。プロ野球にしろ、音楽、映画などの業界は、過去に大きな問題になっています。このような人気稼業ばかりでなくても、ビジネスの世界にも古い習慣を色濃く残っている業界があります。このような業界は、起業しやすい業界です。新しい仕組みを持ち込むことで、起業しやすい業界とされています。

　現在進行しているのが、農業や漁業などの１次産業です。インターネットを導入して、ネット販売する人が急速に増えています。ほかに、生産現場にＩＴ システムを導入している人もいます。また、高価格の取引が見込まれる作物をＩＴを導入して計算している人もいます。そのため、この１０年近くは古い体質の農・漁業が大きく変わりました。

　同様のことは、葬儀業界やブライダル関連、映画業界などでも起こっています。これらは、全てが古い体質の業界でしたが、そこに新しい風を吹き込む人がいます。今後も、古い体質の業界と聞くとヤル気の沸いてくる人がけっこういるはずです。もし、あなたが関わっている業界が古い業界なら、そこは起業にとってやりがいのある業界と思ってください。そして、どこを変えることで起業できるか、仕組みの変更を考えることです。

　逆に、衣料品、食品、インターネット販売などは、体質が突出して新しい業界です。よく小売り販売に関して、ほとんどの素人の人が、ネット販売による起業をはじめるケースがあります。売上高が数億円の言葉に、自分も開業できると思い込むようですが、売上高経常利益率が２％、３％の世界です。徹底的にムダを省いたビジネスをしています。このような世界に素人が参入しても、肩を並べて利益をだしていくのは難しいのが現実です。

　それよりは、何の仕事をしているのか判んない人がゴロゴロ職場にいる業界の方が、数段開業して競争するには向いています。まずは、現在自分が働いている業界を考えてみてください。また、取引相手や日ごろから接していて熟知した業界での起業を考えてみてください。これだけＩＴ化が進んだと云われるわが国においても、相撲協会のような時代の流れとは無縁の業界があります。生産性の向上を念頭に置きながら、起業したならば十分、勝負にはなります。起業チャンスは、日本にはまだまだ残っています。

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