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『個人事業主起業に新たな判断が下る』

平成23年4月24日

一口に起業と言っても、そのカタチは人によってバラバラです。


金融危機の起こった1990年代後半から、中高年層を対象にしたリストラが増えました。ただ、あまりにリストラした社員が多すぎたり、社会的にリストラ企業のイメージが悪いことで、社員の首切りは行わず、個人事業主として独立を勧める企業が出はじめます。
2000年代初頭のことです。


対象の社員には、それまで会社勤めをしていたときと同じ仕事をしてもらいます。その代わり、社員としての雇用関係は解消して、業務委託契約を会社と結びます。


当然退職金はもらいますが、その後の身分は個人事業主で、会社とは1年ごとの契約になります。


一見、プロ野球選手のようですが、実態は技能が優れているためでも、高いサラリーをもらうための契約ではありません。


単に社員がレギュラーで、個人事業主は仕事の穴埋め要員として雇うことが目的です。そのため、不況で仕事量が減ったときは、派遣社員の次に首を切られることになります。


最近は少なくなりましたが、リーマンショック後の09年には、多くの中年社員が個人事業主になりました。


わたしの起業相談にも、個人事業主で起業することが本当に大丈夫か、と言った相談が多く寄せられました。


会社側がする説明とは違って、起業後の仕事は大変不安定です。最初の1、2年は順調でも、その後は契約社員とほとんど待遇は変わらないようです。


また起業したことによって、外部の会社の仕事もできるようになるかと言いますと、建前は大丈夫でも、実際にはほとんど無理です。一人で仕事をこなすわけですから、他の事業所と契約しても実際に現場には行けません。


そんな不安定な個人事業主と親会社の契約に対し、最高裁がこのたび新たな判断を下しました。


個人事業主の就業実態を検討したうえで、「(個人事業主は)労働者に当たり、(親会社との)団体交渉権がある」というものです。


個人事業主は団結することにより、料金設定や受発注に関して、親会社と交渉することが認められました。


起業した個人事業主と言うと聞こえはよいのですが、仕事は会社の社員と同様に組み込まれています。仕事を断ることはできません。契約内容は、親会社が一方的に決めてしまいます。そのうえ、仕事の場所、時間も親会社に一存してます。


起業のカタチとしては、最も弱い立場の起業です。親会社が一方的に契約解除を言い出しますと、個人事業主は失業状態に陥るにも関わらず、従うしかありません。


このようなカタチだけの起業が、意外と多く見られます。今回、最高裁で争われたのは、プロの音楽家とトイレ陶器メーカーのカスタマーエンジニアです。


音楽家の場合は、新国立劇場で公演する1年ごとに契約を結んでいた合唱団員ですが、契約を例年通り更新しなかったことが、不当労働行為とされました。


カスタマーエンジニアの場合は、親会社から担当区域を割り振られて業務委託を受けていました。労働条件を変更する際、団体交渉をすることを親会社が拒否したことで、今回の裁判になりました。


社員が個人事業主として起業させられるケースは、IT技術者の世界ではよく行われています。また、旅行添乗員の世界でもよく見られます。


他に、建築作業員、塾講師、バイク便ドライバー、ピアノ教室など、技術系の仕事で、個人事業主として働く人が増えています。


本来なら、従来の親会社との取引だけでなく、個人事業主開業を契機に、他社との取引も増やしたいところです。


ただ、一人だけでの開業ではそれは無理なので、横の連携を取って、他の個人事業主と情報や仕事の共有化を目指すとか、協同労働組織を考えるなど、開業リスクを減らす努力をすることです。


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