起業へのモチベーションが高まる「転ばぬ先の起業講座」

　　　　　　　　　　

　　　　　　 　　　　　　　『 LOHAS（ロハス）は起業の見方か？ 』

　　　　　　　　　　　今年の夏から、盛んにテレビ、週刊誌、新聞などで取り上げられるようにな
　　　　　　　　　　ったＬＯＨＡＳ（ロハス）。
　　　　　　　　　　　一般には、「健康と地球環境に配慮したライフスタイル」と訳されて、新しい生
　　　　　　　　　　活習慣の提案といったカタチで捉えられている。
　　　　　　　　　　　元々は米国の著名な社会学者のポール・レイ氏が１９９８年に提案した概念
　　　　　　　　　　で、米国における成人男女の３分の１、約６８００万人の人たちが日頃から生
　　　　　　　　　　活する上で心掛けている、環境に優しい車を購入し、食事には無農薬食品を
　　　　　　　　　　選び、早寝早起きをしてスポーツクラブに通うといった、ライフスタイルの人た
　　　　　　　　　　ちの総称である。
　　　　　　　　　　　１９８０代後半から９０年代にかけて、自宅のソファーに寝そべって、スナック
　　　　　　　　　　類を食べながら長時間テレビを見続ける「カウチポテト族」が、不健康な米国
　　　　　　　　　　人の総称なら、９０年代後半に提唱されたＬＯＨＡＳ は、健康な米国人の総称
　　　　　　　　　　と云える。
　　　　　　　　　　　そのため、新しく誕生したスタイルではなく、現在の米国民のライフスタイル
　　　　　　　　　　を社会学者が分類して、３分の１の国民に同じようなスタイルが見られるとこ
　　　　　　　　　　ろから付けられた概念と理解するべきだ。
　　　　　　　　　　　ただ、このＬＯＨＡＳ の人たちの大半を高所得層が占め、そのうちの６０％
　　　　　　　　　　以上が消費に積極的な女性であるところから、関連商品やサービスの市場
　　　　　　　　　　規模は、４０００億ドル（約４５兆円）にも達していて、一大消費層として企業か
　　　　　　　　　　ら注目を集めている点が重要だ。

　　　　　　　　　　　一方、わが国の市場規模は０５年度が約２兆円程度と云われ、米国との経
　　　　　　　　　　済比較からいっても、１５兆から２０兆円くらいまでは拡大する余地があると見
　　　　　　　　　　込まれている。
　　　　　　　　　　　そのため、現在は先行企業による陣取り合戦の様相を示しており、消費者
　　　　　　　　　　にはまだよく理解されていないＬＯＨＡＳ の看板を恐る恐る上げているのが現
　　　　　　　　　　状だ。
　　　　　　　　　　　最も先行しているのが、無農薬野菜を使っての食材市場。
　　　　　　　　　　有機野菜を使用した料理を売り物にしたレストランが、都内にもぽちぽちと出
　　　　　　　　　　現し始めている。
　　　　　　　　　　　また、環境保護に配慮したコーヒー豆を使うカフェ、有機栽培したブドウから
　　　　　　　　　　作られたワイン、漢方に基づいたティーやお菓子など、ＬＯＨＡＳを前面に出さ
　　　　　　　　　　ずに、徹底した安全、安心志向を売り物に事業を行なっている。
　　　　　　　　　　　食材のほかでは、医療に通じるハーブ、環境保護をテーマにしたツアー、自
　　　　　　　　　　己啓発の要素の強いヨガといったところ。
　　　　　　　　　　　自動車のハイブリッド車を除くと、健康と環境とに配慮したＬＯＨＡＳ 商品は、
　　　　　　　　　　まだまだわが国では一般化していないことが分かる。

　　　　　　　　　　　起業の視点で見ると、ＬＯＨＡＳ は生活意識に対象を絞った顧客ターゲットと
　　　　　　　　　　して見ることができる。
　　　　　　　　　　　わが国においても、成人男女の約３割はＬＯＨＡＳ層と見られ、米国同様に
　　　　　　　　　　高所得層が半数以上を占める。
　　　　　　　　　　　当然、現在商品化されているものも高価格品が多く、レストランのメニュー
　　　　　　　　　　価格は一般食材のレストランに比べて２、３割は高い。
　　　　　　　　　　　日頃から、他店よりも１円でも安い価格設定に悩んでいる店舗経営者にとっ
　　　　　　　　　　ては、無農薬の安い食材入手に相当の苦労をさせられるとはいえ、魅力的な
　　　　　　　　　　顧客層である。
　　　　　　　　　　　これから起業をする人にとっては、このＬＯＨＡＳ 層にターゲットを焦点を絞っ
　　　　　　　　　　た事業が考えられる。また、ＬＯＨＡＳ 支援を前面に出しての営業展開も勝算
　　　　　　　　　　がありそうだ。
　　　　　　　　　　　どちらにしろ、わが国におけるＬＯＨＡＳ 市場はまったく手付かずの未知の状
　　　　　　　　　　態である。
　　　　　　　　　　　これから早急にＬＯＨＡＳ 層の経済心理を学んで方向性を決め、その上で
　　　　　　　　　　の起業が十分に間に合う市場だ。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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