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           起業を目指す人のための転ばぬ先の起業講座


          


            『 起業のエアポケット、観光産業を検証する 』

           観光産業は、日本人が閉塞的な現状から変われるかどうかのリトマス試験
          紙の役割りを果たすと云われる。
           海外旅行に出かける日本人観光客1700万人に対し、外国から日本に来る
          観光客が600万人。日本人はモノを輸出したり、海外に出かけたり、内から外
          への移動は多いが、外国から人やモノを迎え入れる精神に欠けているのでは
          ないかと云われ続けてきた。
           東京・池袋にある貴美旅館は、旅なれた外国人旅行客には取り分け有名な
          「リョカン」。成田国際空港から直行する宿泊客も多く、駅前の交番では、英語
          の地図を渡される。
           この旅館は、二階建てコンクリート壁の粋なつくりで、畳部屋、木の風呂、の
          れんなど日本様式を徹底させている。一泊一人部屋4500円と価格が安く、外
          国人客でほぼ満室状態が続いている。
           東京・根津の澤の屋旅館も、日本人より外国人に通りのよい旅館。家族的
          サービスが売りモノで、予約を断るほど宿泊希望者は多いが、サービスの低
          下を恐れて、部屋数は12室以上増やさない。
           こちらも、畳と布団の和室つくりで、シングルは5000円。
           どちらの旅館も、旅行慣れしたバックパッカーやリピター客がメインのお客さ
          んだが、料金が国際的に通用する価格であり、お客さんが東京の街並みや東
          京人との触れ合い、日本情緒を楽しみに来ていることに応えようとする姿勢が
          見て取れる。

           この姿勢は、国内旅行客を対象とする各地の観光ホテルや旅館に最も欠け
          ている点だ。
           多くのホテルや旅館は、大広間での宴会を収入の柱とする発想を替えてい
          ない。個人客より団体客を優先させ、毎夜の食事も、宴会スタイルの食事から
          頑として替えようとしない。
           その旅館でしか出来ないはずのお客さん対応を、人材派遣の社員に任せて
          いたり、一人客と言うだけで、宿泊を断る旅館さえあるほどだ。
           最近は、午後4時からのチェックイン、午前10時のチェックアウトのシステム
          さえ、単にホテル・旅館の都合優先の結果であり、時間枠の見直しを始める旅
          館さえ現われている。
           ただ、市場規模24兆円、そこで働く労働者数440万人の巨大産業は、巨大
          であるがゆえに変わるに変われないでいる。
           起業する側からすると、時代の変化に最も遅れている産業は、新規性の導
          入によって劇的な効果を上げやすい産業である。

           観光産業というと、ホテルや旅館の大資本をイメージして、小資本の起業と
          は天と地ほどの違う無縁のものに思えそうだ。
           しかし、観光産業には、旅行代理店、お土産屋、ホテル・旅館予約サイトなど
          その裾野は広い。
           80年設立のH I S が、10年足らずで格安航空券によって大手海外旅行代
          理店の一角を占めたように、これから観光産業に新たに参入したり、観光産
          業で新規のサービスを開発・導入することによって、どんどん規模を拡大する
          ことが可能な世界だ。
           ストレスに悩まされる現代人にとって、旅行が解消にとても役立つことは広く
          認識されている。また、まもなく定年を迎える団塊の世代へのアンケートでも、
          定年後の楽しみの第一位には旅行を上げている。
           起業の対象を観光産業とすると、資金的に大変な負担が掛かりそうに思う
          が、この業界では普及が遅れている I T の導入を積極的にすることによって、
          新規的で小資本の起業が可能だ。
           お客さんの注文を我慢強く聞くことで、現代では一番の金のなる木と云われ
          る「癒し」の提供に徹することが出来る。

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