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            『陣取り合戦が激しい御用聞きビジネス』

           御用聞きビジネスが注目を集めている。
          1950年代から60年代、わが国の高度成長期が始まる前後に、商店の店員
          が自転車で町内の家庭に注文を聞いて廻ったのが旧式の御用聞き。
           漫画「サザエさん」に出てくる酒屋の三河屋さんの営業スタイルがその典型
          で、午前中に注文を聞いて廻り、午後の夕食の準備を始めるまでに配達する
          のが、この時代の御用聞きのスタイルだった。
           現在の御用聞きには、地方や過疎地でお年寄り夫婦の家庭や老人一人だ
          けの家庭が主な対象になる。
           家電製品や食料品の販売店が始めるケースが多いが、お年寄りの相談を
          色々と受けるうちに注文品が増え、家のリフォームの仲介や介護用品の販売
          などまで営業品目は広がり、売上げも増加の一途をたどっている。

           社会起業フォーラムの藤原久美さんが著書、『 なぜ、御用聞きビジネスが
          伸びているのか』の中で述べているが、一部の地域では、現在主流の最終
          消費者の来店を「待つ」営業から、お客さんのところに「行く」営業へと、時代
          は次第に4、50年前の営業 スタイルに舵を廻しはじめているのではないか。
           そこには、わが国で近い将来確実に起こるとされてきた、人口の減少による
          需要の減退や消費者の高齢化が、既に地域によっては現実のものとなってい
          とことを知らされる。
           主婦が仕事をもって勤めに出るようになったことで、外食産業や中食産業が
          急速に市場を拡大して、食料品店の衰退と飲食店・惣菜店の興隆を招く地殻
          変動が起こったように、「待つ」営業から「行く」営業へとスタイルが変わること
          によって、小売業や飲食業に地殻変動が起こる可能性がある。

           そんな折、コンビニのセブンイレブンが御用聞きビジネスを見据えた営業展
          開の可能性を、会長兼 CEO の鈴木敏文氏が口にして注目を集めた。
           セブンイレブンの05年8月期の中間決算は、全店の売上げが2.0%増。し
          かし、既存店の売上げに限ると2.2%減である。既存店の落ち込みを、新規
          店開設の増加で補って前年比でプラスにしているのが現状で、これはコンビ
          ニ各社に共通する大問題である。
           しかも、年々開設する店舗の立地条件は悪くなるばかりで、現状の新規店
          開設に依存した事業展開はまもなく大きな壁に突き当たる。
           そこで現状打破のために考えているのが、セブンイレブンの各店が周辺家
          庭への御用聞きビジネスの開始だ。
           現在のコンビニでは、弁当・おにぎりの売上げ比率が高く、約3割を占めて
          いる。当然、仕入れが多いから売れ残って廃棄する量も半端ではない。
           御用聞きをすることによって、見込み生産からある程度の計画生産へと転換
          が図れる点は、事業経営にとって魅力が大きい。

           しかし、コンビニ店の営業拡大には問題点も多い。
          コンビニ残酷物語とさえ云われる現状のコンビニ店経営者が、長時間の過剰
          労働に輪をかけるカタチの、注文取りと配達業務を受け入れることが出来るか
          どうか。しかも、不況期の安いアルバイト料を念頭に置いて人件費を考えてい
          るが、これからは人手不足でアルバイト料も含めて人件費の上昇は間違いな
          く起こる。
           コンビニの御用聞きビジネスは、一社が始めると雪崩をうったように、ライバ
          ル各社も始めるのがわが国ビジネス界の常。競合する弁当店や惣菜店、ガス
          トなどのファミレスまでもが始めるとなると、現在の御用聞きビジネスのウマミ
          はまったく無くなってしまう。
           これから、コンビニ店での起業を考えている人には酷な話だが、本部経営と
          違って加盟店経営の将来は、ますます厳しいものになりそうだ。
           逆に、これからコンビニとは違う商品販売で御用聞きビジネスの展開を考え
          ている人には、まだまだ市場の陣取り合戦は始まったばかりなので、市場開
          拓者利益は用意されているようだ。  
                             
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