起業を目指す人のための「転ばぬ先の起業講座」

　　　　　　　　　　

　　　　　　 　　　　　　『 景気上昇で商いの減るリサイクル品販売』

　　　　　　　　　　　日銀が景気刺激策として続けてきた量的金融緩和やゼロ金利政策が、いよ
　　　　　　　　　　いよ最後の局面を迎えている。デフレ基調の経済が、インフレ基調の経済へと
　　　　　　　　　　衣替えをしよとする時期に差し掛かっているだ。
　　　　　　　　　　　実は、ビジネスの世界では一足先に、衣替えによってやせ細り始めた業界が
　　　　　　　　　　ある。リサイクル品販売の世界である。

　　　　　　　　　　　９０年代後半から、急速に市場を広げた中古オフィス家具。現在では、東京な
　　　　　　　　　　どでリサイクル業者によるオークションも開かれているほど市場の整備が進ん
　　　　　　　　　　でいる。ところが４月からの年度替りを前に、商品の売買が最も多いこの時期
　　　　　　　　　　なのに、業者の表情は暗い。
　　　　　　　　　　　一昨年あたりから新規参入する業者が増えたために、買い取り価格の上昇、
　　　　　　　　　　販売価格の下落という利幅の薄い商売になりつつある。しかも、昨年あたりか
　　　　　　　　　　らは追い討ちをかけるように、好景気の会社が新品を買い求めるケースが増
　　　　　　　　　　えて、業者は中古品の買い取りばかりで在庫増に慌てる事態になっている。
　　　　　　　　　　　中古オフィス家具を扱う業者は、ほとんどが小企業か個人業者のため、この
　　　　　　　　　　春以降は多くの業者が、過剰在庫を抱えて経営に行き詰る心配がある。
　　　　　　　　　　　一方、業務用リサイクル品では、中古厨房機器のテンポスバスターズが有名
　　　　　　　　　　だ。ここは、独自に開発した競合相手がほとんどいない市場であるうえ、新品
　　　　　　　　　　の安売り販売やネット販売への進出など、事業の新展開を進めることで業績は
　　　　　　　　　　上昇基調を続けている。

　　　　　　　　　　　家電製品、衣類、家具・インテリア、雑貨などのリサイクル品は、すっかり人気
　　　　　　　　　　を落としている。これら商品は、比較的簡単に商品を集めることができることも
　　　　　　　　　　あって、新たなリサイクル業者の参入が相次いで過当競争から抜け出せない
　　　　　　　　　　のだ。
　　　　　　　　　　　しかも、世の中の好景気が影響して、消費者は次第にリサイクル品から遠の
　　　　　　　　　　いている。この先、景気の上昇が続いてインフレ基調になると、ますますリサイ
　　　　　　　　　　クル業界は厳しくなりそうだ。
　　　　　　　　　　　ついでに家電製品について云えば、この３月３１日で電気用品安全法の規制
　　　　　　　　　　猶予措置が期限切れになるため、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など２５４品目が、新
　　　　　　　　　　たな安全マークを取得しなければ、４月１日以降リサイクル品としての販売がで
　　　　　　　　　　きなくなってしまう。
　　　　　　　　　　　それでなくても利幅が薄くなっている上に、０１年以降に製造されたＰＳＥマー
　　　　　　　　　　クが表示された製品でなければ販売することができなくなる。家電製品のリサ
　　　　　　　　　　イクル業者にとっては、踏んだり蹴ったりの事態だ。

　　　　　　　　　　　ただ、リサイクル品販売と云っても世界は広い。
　　　　　　　　　　　一般的な汎用リサイクル品の売れ行き不振を尻目に、ブランド品や高級装飾
　　　　　　　　　　品、ブック関連などのリサイクル品の売れ行きは悪くない。
　　　　　　　　　　　この辺が難しいところで、単に景気の良し悪しで売れ行きの落ちる商品群と、
　　　　　　　　　　景気とは関係なくこだわりの商品として売れる商品群とに分かれる。
　　　　　　　　　　　これから起業を考えている人にとって、この景気の流れを注視して、どのタイ
　　　　　　　　　　ミングで、何を売って起業をスタートさせるか、難しいところだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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