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                起業を目指す人のための転ばぬ先の起業講座

          


              『 悩みが深いシステムエンジニア不足 』

           コンピュータのシステム開発を行なうシステムエンジニア(SE)が、時代の先端
          を走る憧れの職業とされたのは、10年も20年も昔の話。
           現在は、顧客企業に常駐しての長い労働時間のために、自分の健康と家庭ま
          で犠牲にし、そのうえ社会的な責任の重さも加わって、就職活動を行なう学生
          からは敬遠される職業の一つになっている。
           そのため、歳を取ってからは現場でSEとして働くのは難しいとされ、若いとき
          に必死に働いて資金を貯め、40代を過ぎるころにはその資金を元に起業をして
          長年温めてきたアイデアを実現させると言う、起業家のインキュベーター(孵化
          器)の役割を果たしてきた。
           この場合のインキュベーターとは、単に開業資金を作るだけではなく、システ
          ム開発においては対象業種の換金システムから商慣行まで習得するため、経
          営ノウハウをも身につけることを意味している。

           そのSEの世界が、最近変調をきたしてると言われる。
           05年11月に東京証券取引所でシステム障害が発生して、長時間に渡って証
          券取引が不能になったが、背景にあるのはシステム変更におけるSE不足のた
          め、テスト工程が疎かになった結果と言われている。
           実は、この現象は東証やみずほFGなど金融関係に限られた話しではなく、ト
          ヨタの「プリウス」やソニーの「ウォークマン」など高機能製品でもバグが頻発して
          いて、ここでもソフト開発部門の人手不足が原因をされている。
           その昔、世の中のコンピュータ化が進んで労働者の仕事がほとんどIT化され
          てしまうと、失業者ばかりの社会になってしまうと云う嘆きに対し、コンピュータ関
          連のソフト開発の仕事が人口以上に必要になると云う、未来予測のブラックジョ
          ークが流行ったが、現実も次第にその域に近づいているようだ。

           現在では、SEで仕事にあぶれている人間と言うと、情報系の学校は出たけれ
          どよほど仕事が出来ない人間か、起業しようとあれこれ探っている人間のどちら
          かと言われるほどだ。
           この業界では、SEが3人集まると会社を立ち上げて、大手システム開発会社
          の孫受け会社や曾孫受け会社となって事業展開を始めるケースも多い。
           これまでの例では、システム開発の仕事量が急激に増える時は、SEの数も
          理由もなく増えて自然とバランスが取れていたが、今回はその自然増がなく、S
          Eによる起業も増えていない。
           そんな中で、東証やみずほFGの仕事だけでなく、東京三菱とUFJとの勘定系
          と情報系の統合、JCBの次世代基幹系システムの構築、日本郵政公社の次期
          ネットワークシステム構築と、金融業界だけ取っても大型案件が目白押しの状
          態になっている。

           ここで指摘しておきたいのは、SE不足の結果として東証のシステム障害に見
          られるように、日本経済の動脈を揺るがすようなトラブルが再度起こる可能性が
          高いこと。
           また、SE不足が深刻化すると、米国が辿った道と同じように、中国やインドの
          SE会社なりSEの導入が本格化すること。
           そして、SEの不人気によって、わが国の起業の一翼を担ってきたSE出身の
          起業家が少なくなる予感がする。
           IT化の足腰と云われるSEだけに、その不足はこれから大変な問題を産業界
          に突きつけそうだ。

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