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                起業を目指す人のための転ばぬ先の起業講座

          


              『 法化社会の到来による起業への影響 』

           日本は経済大国で、物質的に恵まれていて、生活するのにとても便利で・・・
          これらは、日本人も外国人も誰もが簡単に思い描く日本のイメージ。
          ただ、これら表面上のうわべの日本とは別に、先進各国の人たちがイメージす
          る日本の負の部分がある。
           人身売買が多く行なわれていて、外国企業の市場参入に障壁が高くて、商
          取引や会計監査に不公正が横行している国。
           日本で生活して仕事をしていると、現状で行なわれていることが当たり前のこ
          とのように思われるが、世界レベルのメージャーで測ると、日本はそれほど外
          国から高い評価を得ている国ではないらしい。
           日本の代表的な企業の輸出力や競争力ばかりで他国と比較しているが、国
          際競争力は21位(05年)、ITの活用状況は16位(05〜06年)、ビジネス環境
          は10位(05年)というのが実際の実力のようだ。

           そこで、世界のトップグループの国並みに法律の整備を行い、企業間の公平
          な競争と外国資本の参入を促進しようというのが、昨年から今年にかけての一
          連の法律改正である。
           06年1月1日には公正取引法が改正されて、談合に対する締め付けが強くな
          った。5月1日には新会社法が施行されて、会社組織を作ることが簡単になり、
          同時に会計処理の不正に対する罰則規制が強化された。
           07年5月からは、外国企業の日本でのM&Aが容易になり、日本企業を子会
          社化することでの進出が簡単になる。
           これら一連の法改正の流れは、実は明治政府の発足からわが国で一般化さ
          れてきた、官庁などの主導による事前規制型の経済規範が、司法による事後
          チェック型へと180度大きく舵を切ったのである。
           構造改革による規制緩和によって、企業経営の自由が広がる一方、企業の
          自律の重みは増し、法令違反には厳しく責任を問う法化社会の考え方がわが
          国でも進行している。

           企業にとって法化社会の怖いところは、事前の警告なしにいきなり逮捕され
          たり、書類送検されるところにある。
           昨年から社会を騒がせている耐震強度の偽装事件において、建設施工を手
          がけた木村建設は98年から続いている粉飾決算で、木村盛好元社長が逮捕
          された。この工事経費の一部を次年度に廻して利益を水増しする手法は、建設
          業界では広く一般的に行なわれている粉飾方法で、木村元社長の逮捕で肝を
          冷やしている建設関係者は相当数に上るはずだ。
           また、 姉歯秀次元1級建築士が逮捕された名義貸しも、わが国のビジネス
          慣行の中では広く一般的に行なわれてきた行為だ。医師や看護士、薬剤師の
          世界では当たり前のように行なわれているし、不動産業界でも、建設業界でも
          法を守る弁護士の世界でも名義貸しで逮捕された国会議員さえいるほどだ。
           凡そ、わが国の士業と云われる職業では、名義貸しが常態化していた。
           イーホームの藤田東吾社長が増資のために行なった見せ金も、会社設立時
          にはよく使われる手法。資本金として、一時的に人から都合したお金を銀行に
          預けることで、最低資本金をクリアーすることはこれまでよく行なわれていた。
           今回、図らずも耐震強度偽装事件の逮捕容疑で使われた罪状は、少し前ま
          でなら違法ではあっても決して逮捕までされることのない罪状だったが、今現
          在では当然のように逮捕されることになった。

           そして、現在社会を騒がせている経済事犯のほとんども、少し前までなら役
          所の軽い行政指導で済んでいたことが、今では手のひらを返したように厳しい
          措置が取られている。
           防衛施設庁の幹部が談合を行なっていたとして、防衛庁に統合される事態に
          なったり、三井住友銀行が融資先の中小企業に対し融資の条件として、金利ス
          ワッププ購入を要請したとして業務停止命令を受けることは、法化社会の到来が
          すでに想像以上に進んでいることの裏付けだ。
           決して国は、これから違法行為に対し厳しく取り締まりますから注意してくださ
          いなどと、警告したりはしない。元来は違法行為なのを、自分たちもある種の事
          情で見過ごしていた責任があるから、あたり前のように法的措置を取る。
           起業にあたって、きめ細かく情報の収集にあたること。そして、決して違法行
          為には近づかないこと。
           これまでは、このくらいのことでは捕まらなかったと云う前例が、まったく通用
          しなくなった。また、生半可な他人の知識を信用しないで、自分でしっかりと学ん
          でいくことも大切だ。
           06年10月からは、手軽な法律相談の「法テラス」もスタートする。
          つくづく、現在が時代の変り目であることを感じさせる法化社会の到来である。                           

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