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              『 便利一辺倒の時代に変化が来てる? 』

           日本には、1960年代の経済高度成長期を境として、『便利』なことは何にも
          増して、全てよいこととする共通認識が生まれた。
           買い物をするお店にしても、買う商品にしても、日常生活で使う日用品にして
          も、すべては無意識のうちに便利なモノを選んでいる。
           ところが最近は、便利ではないモノに視線が注がれるようになっている。
           手間の掛かる筆記具の代表格、万年筆がバカうけしているのだ。
          ビスコンティ、パーカー、ナミキ、ペリカンなど高級品を、中高年の男性が買い求
          めている話しはよくマスコミでも取り上げられる。
           ところが、最近は女子中高生の間でも、12色のカラーインクが使用できるパ
          イロットのミニペン「ペチットワン」が、昨年あたりから爆発的な人気を集めてい
          るのだ。
           日常の筆記具としては、便利で使い勝手のよいボールペン一辺倒の時代が
          長く続いていたが、時代の変化に敏感な女子中高生が先鞭をつけて、多様化
          の時代に変わっていく可能性が高い。

           日常生活に欠かせない寝具の世界でも、変化は確実に起こっている。20代、
          30代の若い世帯で、ベッドを購入する費用支出が前年比で2.3%減と2年連
          続で減っているのに対して、布団は2.7%増とこちらは逆に2年連続で増加し
          ている。
           日本人に長いこと愛用されてきた布団は、毎日の使用時の出し入れや管理
          の仕方など不便この上なく、家の間取りさえ広ければベッドの方が断然楽とさ
          れてきた。最近は、住まいの間取りが徐々に広くなっているにも係わらず、布
          団派の方が増えてきているのだ。実は、アメリカでも布団の使用が広まってき
          ていて、日常の会話でも辞書の中でも「futon」は既に一般化している。
           ビジネスの世界でも、このところ注目されているのが個人向けのビジネス手帳
          だ。世の中デジタル化がどんどん進んで、パソコンや携帯電話の広がりと同じ
          ように電子手帳が普及すると思われていたが、実際は個人向け手帳がこの5
          年間に年率5%前後のペースで増え続けている。

           似たようなケースは、IT化が最も進んでいる通信販売の世界にも見られてい
          る。注目の通販会社は、化粧品や食品の販売で約35億円の売上げを、従業
          員約50人で稼ぎだす「生活総合サービス」だ。
           この会社の売りは、「電話セールスをしない通販」。電話の代わりに営業の役
          目を果たしているのが、従業員による手書きのお客さん向けの手紙。
           10年前の創業時から手書きの礼状を送っていたが、最近では販売直後の礼
          状のほかに、20日後、50日後と定期的に手紙をだして、商品の使い心地を聞
          いたり、新たな商品のPRを個人個人の文章で行なっている。
           この営業法によって同社のリピーター率は、業界平均20%の倍をいく約40%
          を誇っている。しかも、従来にも増して最近はリピーター率が高くなっているの
          で、業界としては脅威になっている。

           起業にあたっては、無意識のうちに「お客さんにとっての便利」を考えたビジ
          ネスを探るのが起業家の常だ。会社の理念にも、「お客さんの利便性を高める
          ため」などといった文言が抵抗なく自然に並ぶ。
           しかし、本当にお客さんは、ただ便利だけを求めているのか?
           企業からのダイレクト・メールが山のように送られてくる郵便物の中にあって、
          手書きの手紙はそれだけで異彩を放っているし、プリントアウトされた文字に書
          かれた丁寧な挨拶よりも、人が手で書いた、特に万年筆の文字にはそれだけ
          で、誠意や説得力が感じられる。
           世の中、便利の代表選手であるデジタル化の波に乗って、一方通行で突っ走
          ってきたが、今の時代、お客さんが本当に望んでいるモノは何なのか。便利だ
          でけであるよりも、安心であったり、癒しであったりすることはないだろうか。
           これから起業を考えている人にとって、脱デジタルの流れに神経を尖らせてい
          なければ、せっかくのチャンスを不意にしかねない事態になる。

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