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トピックス
『起業の成否の分かれ目に立つマウジーブランド』


平成19年3月22日

 今、起業で苦労している人から見ると、人気ブランド「マウジー」を売り出している河瀬義昭さんに対しては、羨望と嘲笑とが入り混じった複雑な気持ちにさせられているのではないだろうか。
 河瀬さんは、今月初めに02年1月期から06年1月期までの5年間に、6億円の所得隠しが発表されたアパレル会社「フェイクデリック」の経営者。「マウジー」はこの会社の目玉ブランドで、若い女性から強い支持を得て売上げを伸ばしている。
 脱税とは云わずに所得隠しというところが、最近の企業に対する国税庁の腰の据わりの悪いところで、海外子会社や工場への支払い価額の高低によって、脱税や所得隠し、正常取引と変化するから、為替変動とも相俟って経営者はその対応がとても難しくなっている。
 河瀬さんの場合は、製造工場との取引を現地で代行していた、香港の貿易事務子会社への手数料が問題になったようだ。
                 
 この所得隠し問題だけなら、最近は国税との考え方の違いからくるよくある問題なので大騒ぎされることはなかったが、これを機に以前の問題がボロボロ出てきたからたまらない。
 事の発端は02年に犯した大麻取締法違反事件。この事件では逮捕されたが、執行猶予がついて収監されてはいなかった。所が、この執行猶予中の03年9月に自動車でひき逃げ事件を起こし、収監を恐れて自分の会社の社員に身代わり出頭をさせていた事実が06年10月になって発覚した。
 ここで再び逮捕されてしまったが、今回も東京地裁で懲役2年、執行猶予5年の判決を受けたため、収監されずに済んでいる。
 彼はこのほかにも、住まいを六本木ヒルズに構えていたため、ヒルズ族の一人としてマスコミに取り上げられたし、女優の内田有紀さんの恋人として話題になったこともあった。
                  
 河瀬さんは若くしてアパレルショップで起業して、日本中どこにでもいるショップオーナーの一人だった。彼の転機は、28歳で「フェイクデリック」を創業した時と云われている。
 このとき、創業に際して目をつけたのが、2000年当時渋谷109のアパレルショップ「エゴイスト」でカリスマ店員として有名になった森本容子さんを、創業のパートナーとして「フェイクデリック」の引き込んだことだ。
 彼女は「エゴイスト」を辞めて、次の仕事に向けて悩んでいた時期でもあり、河瀬さんは埼玉の森本さんの自宅に出向いて「フェイクデリック」立ち上げに参加することをお願いしている。彼は、カリスマ店員の目で見たファッションをデザインすることで、話題性と同時の若い女性の感性にマッチしたファッション創りを目指し、これが見事当たって「マウジー」が生まれることになる。
                  
 ただ、大麻、ひき逃げと事件が続き、結局森本さんは05年には「フェイクデリック」を辞めることになり、河瀬さんが06年に77億円まで高めたグループ売上げも、これからは次第に下降線をたどりそうな雲行きだ。
 経営者の中には、大麻で捕まった人も、交通事故を起こした人も、ビジネスパートナーに逃げられた人も、女性と浮名を流した人もいる。そして、落ちた名声から立ち直った人も大勢いる。
 ただ、自分の会社の社員に犯人の身代わりをさせるケースは、立ち直りが不可能だ。多分、所得隠しが国税との見解の違いだけで、ほとんど問題はないにしろ、そこに働いている社員全員に身代わり事件の傷は残るだろう。
 起業家は、お金を稼ぐことばかりではなく、一つの組織の代表として胸を張って生きることも、求められていることを忘れてはならない。
                       
                       
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